一般社団法人 出版文化国際交流会 Publishers' Association for Cultural Exchange (PACE), Japan 本文へジャンプ


祝 辞

本日は、出版文化国際交流会様の創立60周年、おめでとうございます。
心よりお祝い申し上げます。
また、本日はこのような席にお招きいただきまして、大変光栄に思っております。
ただ今ご紹介にあずかりました、国際交流基金の理事を務めております櫻井と申します。

出版文化国際交流会は、1953年にその前身のアジア文化交流出版会が発足し、その3年後の1956年に、出版文化国際交流会としての活動を開始されました。
この60年間は日本社会が大きく変容を遂げた時代であり、日本文化に対する世界の関心も質・量ともに大きく変わりました。出版文化国際交流会は、こうした時代の流れを敏感に受け止め、図書展での日本ブース出展等の活動を通じて、日本文化を海外の方々に伝える役割を果たしてこられました。この60年の間のご功績は誠に大きなものがあると確信しております。

私ども国際交流基金は1972年に設立されましたが、1981年には、出版文化国際交流会のそれまでの功績を讃え、また更なるご活躍を期待して、国際交流奨励賞を授与させていただきました。
また基金は、発足当初は毎年数件の図書展に散発的に参加する程度でしたが、1987年頃より、規模、内容を充実させた形で、現在に至るまで毎年15件前後の図書展に参加しております。その全ては、出版文化国際交流会との共催によって実現されたものです。
国際交流基金の参加する図書展の特徴ですが、その多くは中東、南米など、日本との距離が遠く、日本との文化交流の基盤があまり整っていない国々で開催されるものです。
こうした国々において、しばしば図書展が国を挙げての一大行事として開催されます。このような大人から子供に至るまでの幅広い層をターゲットとして日本のプレゼンスを示し、日本文化に触れてもらう機会を提供することの意義ははかりしれません。
個々の図書展の来場者の関心に合わせながらきめ細やかに準備し、日本ブースの出展を実施されてきた出版文化国際交流会のご努力にあらためて感謝するとともに、深く敬意を表す次第であります。

日本では、読書人口の減少など、出版文化をめぐる厳しい現状が指摘されています。しかし、読書は人々にとって最も身近にある文化的営みです。
国際交流基金は昨年、作家の村上春樹さんに国際交流基金賞を授与しましたが、授賞式において村上さんは物語の翻訳について触れられて、次のような言葉を寄せられました。

「文化の世界にももちろん国境はあります。でも地理上の国境とは違い、心を定めさえすれば、私たちにはそれを易々とまたぎ超えることができます。
言葉が違い生活様式が異なっても、物語という心のあり方を等価交換的に共有することができます。」

以上が村上さんの言葉です。
読書は、海外の多くの人にとって、地理的、時代的境界を超えて、日本という国への窓を開いてくれるものです。私どもは、図書を通じた文化交流の重要性が、時代に関わらず普遍的なものと心から信じております。

最後になりましたが、この場に一堂に会された各位のご健勝を祈念いたしますとともに、出版文化国際交流会が今後もますます発展されますよう期待いたしまして、私の祝辞といたします。

 

独立行政法人国際交流基金理事
櫻井友行


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