一般社団法人 出版文化国際交流会 Publishers' Association for Cultural Exchange (PACE), Japan 本文へジャンプ


第20回トゥルク国際ブックフェア

報告:山脇 佐代子(京都大学学術出版会)



名  称
The 20th Turku International Book Fair
会  期
2011年9月30日(金)-10月2日(日)
入場時間
10:00-18:00(最終日は-17:00)
会  場
TurunMessu-jaKongressikeskus
主  催
トゥルク国際ブックフェア委員会
テ ー マ
北欧諸国 / 日本
参 加 国
国としての参加は日本のみ
展示面積
日本ブース45m2
入 場 者
30日約6000人、1日約8600人、2日不明
入 場 料
大人14ユーロ、小人(7〜15歳)5ユーロ、学生、高齢者10ユーロ
ファミリーチケット(大人2名と15歳未満のこども)20ユーロ
通し券20ユーロ、団体割引9ユーロ/人(1グループ10人以上)
駐車場5ユーロ
いずれも同時開催の食品フェア、地方フェアに共通

 9月28日、ようやく30度を超える暑さが2日前に去った京都を発つ。特急はるかの窓外には彼岸花が咲き残り、だんじり祭りの提灯がみえる。出発時の関西空港の気温は27度。夏をすぎて機内は半分ほど空席だ。日本から最も近い欧州フィンランドは関空からヘルシンキまでわずか10時間あまり、乗り継ぎで目的地トゥルクまで12時間の近さである。トゥルク空港に到着したのは17時。緯度の高いこの国ではすでに日暮れ時である。小雨が降っている。発つ前の予報では例年より暖かく日中は21度ほどとのことだったが、日暮れ時とあり気温はぐんと下がり、人々はコート姿だ。周囲の木立はすでに紅葉している。
 翌日11時半、会場トゥルクメッセ前で大使館の渡邊聡氏と待ち合わせる。会場は町の中心部からはかなり離れていて人気がない。催事がある日は市の中心から直通バスがでるが、そうでない日は離れた幹線のバス停から歩くよりほかはない。今朝も小雨があたっている。電光掲示でブックフェアの表示が出ていなければ、明日からここに人が来るのだろうかと半信半疑になる心許なさである。


会場外観
会場外観


 会場に入ると、しかしすでにそこここで設営がはじまっていた。搬入口からほど近く赤い絨毯がひときわ目を引くのが日本のブースだった。このブースはアールト大学で空間デザインを学ぶ日本の若手デザイナー澤谷徳幸氏がデザインしたもので、日の丸をイメージしているそうだ。赤い敷物にメインの書棚が正面の壁面に楕円形に配されている。この書棚を挟んで左側に小さな休憩室があり、その少し張り出した壁面書棚には友好団体フィン日協会発行の小冊子が並べられ販売が試みられるという。向かって右側には腰掛けられる畳のスペースが設けられている。渡邊氏の計画では、そこでアザラシロボットのパロが来場者を迎え、緑茶がふるまわれる予定である。畳の右の壁面は東日本大震災のミニパネル展のスペース、さらに少し大きめの薄型ディスプレイが設置され、そこでは日本の文化を紹介するビデオが流される手はずになっていた。毎年ヘルシンキの旅行博で手腕をふるう渡邊氏のプランは周到である。


日本ブース
日本ブース


 ここで学生のアンニ・マツォンさんとアレクシ・テイバイネンさんと合流。大使館から運ばれた畳の搬入からはじまって設営が本格化する。私は学生さんの手を借りて日本から送られてきた書籍を棚入れする。アレクシさんが持ち前のセンスを発揮し、ほどなく棚は見事に見栄え良く整えられた。これも大使館から運ばれた日本人形や羽子板を上段の棚に飾り書棚は完成。その間にディスプレイとビデオの配線もすみ、トゥルク大学で勉強中の外交官の卵、小川智弘氏も到着した。全員で震災の写真をパネル入れして予定より早く設営を完了した。そこで、久しぶりに磨きあげられたという電気ポットでお湯を沸かし、大きめのコーヒーポットで緑茶を煎れて試飲する。だがかなり渋い。電気ポットがやや旧式で湯を適温にさげる機能がないのだ。熱湯で煎茶を煎れればこの結果はやむを得ない。小川氏が対策をすることになる。

 明けて30日。いよいよ開催日。今朝はフィンランドに到着してから初めて青空がのぞく好天に恵まれる。夏の終わりに一旦雨が降り始めたら、雪に変わることはあっても春まで降り続ける、それがフィンランドだと前日に聞かされていたので、とても幸先のよい開幕だ。
 ここフィンランドの古都トゥルクでは2011年の欧州文化首都として、様々な文化イベントが開かれている。第20回の記念の年を迎えた国際ブックフェアもその一連の行事の中に位置づけられる。開催テーマは北欧諸国と日本ということで、日本ブースは、正面玄関から入って最奥の床の間のような位置にやや広いスペースを占めている。午前10時、特に何のアナウンスもなく開場。国際ブックフェアでは、初日はビジネスデイであることが多いが、トゥルクのブックフェアは初日から一般公開だ。学生スタッフのアレクシさんとアンニ・キュンシレフトさんの二人が表で日本関連のイベントのチラシを配っている間にも人は次々と入り、最初の1時間も経たないうちにブース訪問者は100人を超え、とても数えてはいられなくなる。
 来場者の中には大人も子どももプリントを持っている人が目につく。学校の授業や、地元のカルチャークラブの学習らしい。テーマ国日本はもれなくその学習課題になっている。おかげさまで日本ブースは大盛況だ。アンニさんに、なだれこんできた子どもたちが持っているプリントの内容を尋ねてもらうと、日本の漫画の新しい傾向を調べることになっているという。これには参った。日本ブースの棚に並んでいる漫画は必ずしも最新のものとは言い難い。子どもたちも傾向をつかむには足りなくてやや困惑気味である。ご期待に添えず申し訳ないと、質問をしてきた子には、震災後のしりあがり寿さんの漫画の話を例にあげてみたりしたが、現物がないので何とも伝えにくい。子どもたちはそれでもそれなりに何かを書き込んでいるようだ。
 実は日本ブースの右隣がフィンランドの漫画大手Sangatsu Mangaのブースで、フィンランド語に訳された日本の漫画をずらりと揃えて即売中だ。会場価格は1冊4ユーロ。Sangatsu Mangaはフィンランドの出版大手tammiグループの一員で、マネージャーのAnttiValkamaさんは頻繁に日本に出向いている事情通だ。足りないところはお任せしよう。通路を挟んだ右斜め向かいはtammi本体のブースだが、こちらは村上春樹氏の小説の翻訳出版社だ。そして真向かいのブースでは、谷崎潤一郎の『陰影礼讃』、岡倉天心の『茶の本』の翻訳ペーパーバックがそれぞれ12ユーロで販売中である。主催者はテーマ国「日本」を盛り上げるために和書の翻訳をてがける出版社を日本ブースの周りに意図的に配したものらしい。限られた書籍しか搬入できない中でありがたい配慮である。
 ブースでの仕事の一つは来訪者へのアンケートだ。とにかく人は入っているので、棚を熱心にみていた人に声をかけてお願いをしてみる。ところが、ちょっとのぞいて首を横にふる人が意外に多い。日本ブースに魅力がないのか、はたまた人柄がシャイなのかと思いきや、しばらくみていたアンニさんはアンケート用紙が英語で書かれているからだという。フィンランド人の多くは日常英語を流暢に話すが、読み書きは苦手な人が案外多いのだそうだ。というわけで急遽アンニさんがアンケート用紙にフィンランド語訳を書き込む。それを示すとにわかに順調にアンケートの回答が集まり始めた。設問が英語で書いてあるので、英語で回答しなければいけないと思った人がいたこともそのうちにわかった。文化交流である以上、開催国の言語に敬意を払うという当たり前のことの大切さを感じた。
 アンケート回答者には件の緑茶がふるまわれた。冷茶も用意される。女性に好評で、ビデオを見ながらおかわりをする人も現れる。PACEで用意していただいた恒例の折り紙もアンケートのお礼や畳スペースに集まってくる子どもたちの遊びに活用される。旅行博ではすでに飽きられているという話で当初心配したが、折り紙をもらった人に頼まれて折り方を教え始めると、次々に人がのぞき込む。渡邊氏も驚く大人気である。小川氏も最初は記憶を頼りに、そのうち展示の折り紙の本を見ながら、ペンギンやウサギとさまざまな動物を器用に折って、子どもたちの人気を博している。


小川さんと子どもたち
小川さんと子どもたち


 子どもたちの中には一人で折り紙の本とじっくり見比べながら、長時間かけて難作を作り上げる強者もいた。私も日本から持参した小さめの千代紙で事前に小学生の娘に手ほどきをうけたコマを折る。折りあがってくるっと回すと、何を折っているのかとみていた人たちが、目をまるくして歓声をあげる。作ったコマはアンケートのお礼にプレゼントする。アザラシロボットのパロは朝のうちご機嫌で愛嬌をふるまい通る人を驚かせていたが、さんざん遊ばれてそのうち眠たげに。


パロと子ども
パロと子ども


 独特の充電器をくわえて昼間は居眠りの時間が多くなった。後で充電の仕方に問題があったことがわかって、渡邊氏が手をつくして翌日からは元気度がアップした。
 日本ブースではおそらく初めての試みである販売も行われた。日本側が提供したものではなくフィン日協会の方たちが作った小冊子であるが、来訪者には好評で、最終日にはほぼ完売に近い状態だった。


フィン日協会の方
フィン日協会の方


 もちろん展示書籍の購入希望は他のブックフェアと同様切実だ。最も人気の高かったのは、『しばいぬ 世界一かわいいニッポンの犬』(平凡社)、次に『フェルトのマスコット』(文化出版局)、そして折り紙の本も希望が多かった。中でも『しばいぬ』は他を圧倒する人気ぶりで、年齢性別を問わず、夢中になる人が続出する。昨今の欧州の日本犬ブームの影響も若干あるのかもしれないが、フィンランド人は概して犬好きであるそうだ。Sangatsu Mangaで1年前に翻訳出版された『流れ星銀牙』も大ヒットだったそうである。漫画は若い人を中心に手にとられていたが、22〜3歳未満の世代はこの国でも漫画よりアニメに関心が移っているそうで、全体としては、絵本、茶道の本など伝統文化をしっかり紹介した書籍、日本語の小説の方がよく手にとられていたようである。ティーンズのカワイイ系ファッションを紹介した雑誌、書籍には殆ど関心を向けられることがなかった。この国の多くの人には少なくとも魅力的ではないらしい。みたかったものとして要望があったのは、だまし絵、海女を紹介した本、北欧諸国では高い人気を誇る村上春樹氏の諸作品とくに未翻訳の『1Q84』、キューピーさんなど昭和レトロなグッズを紹介したものなどである。日本への関心が高いこの国では、通り一遍な日本紹介では既に飽き足らないようだ。
 日本書籍を売り込むようにというご期待には残念ながら添うことができなかった。他の国際ブックフェアでは需要が多いという日本の出版を紹介した冊子もかなり余ってしまった。というのも国として出展したのは日本のみ、ヨーロッパ諸国の出版社の連合ブースも即売が中心で版権ビジネスは行われていない。そうしたビジネスはヘルシンキのブックフェアで行われているそうだ。このブックフェアの主たる性格はトゥルクの一大文化行事といったところである。したがってWebサイトも、場内の案内も公用語のフィンランド語とスウェーデン語のみだ。そのかわり学校をあげて参加したり、食品博の会場で先着順に配られたトイレットペーパーを提げて、町のおじさん、おばさんがブックフェアをみて歩くといった具合で、その盛大さ浸透度は半端ではない。年変わりのテーマ国を通じてトゥルク市民や子どもたちは居ながらにして様々な国の文化に触れる機会をえることができるわけである。会場での書籍購入も盛んだ。
 東日本大震災のパネル展にも多くの来訪者が目をとめてくださった。


震災パネルと畳スペース
震災パネルと畳スペース


 直接見舞いのことばをいただいたり、中には妹さんが日本人と結婚して東北に住んでいて、当初とても心配だったという話をされる方もいた。折り紙を楽しんだあと、畳のスペースに座って震災グラフ誌を丹念にご覧になったご夫妻など、特別に手配された関連の雑誌も手に取られていた。
 初日お昼をまわり、別ホールで行われたオープニング・イベントに参加することができた。北欧アイスランドのレゲエバンドの演奏ではじまり、主催者の挨拶、テーマ国の挨拶と続く。日本の丸山大使も英語で挨拶。日本ブースとイベントの紹介をされる。


丸山大使夫妻と渡邊さん
丸山大使夫妻と渡邊さん


 最後は地元の女性詩人の詩の朗読で締めくくられた。あとでうかがったところではこの詩人はトゥルク周辺の南部方言で詩を書いて、現在フィンランドで最も著名な詩人の一人であるとのことである。
 ブースの人手の関係で私は直接みられなかったが、2日目には食品博でヘルシンキの寿司店を営むフィンランド人ポルキ氏とヴァルカマ氏によるお寿司教室が開かれた。3日目には日本研究者エロマ先生の講演があり、ともに立ち見の盛況だったそうだ。
 このほか会場のそこここに設けられたイベントスペースやホール、ブース内で多数のイベントが連日行われていた。
 日本ブースには国際交流基金の支援で通訳を兼ねた学生スタッフ2人が、日替わりでついてくださった。アンニ・マツォンさんはヘルシンキ大学の学生で、大学やフィンランドの教育制度の話を聞かせていただいた。アレクシ・テイバイネンさんはトゥルク大学の学生。奥さんは日本人の料理人だそうだ。昼食のビュッフェ料理を一つ一つ解説してくださった。目配りのよい青年で、いつもお困りの人のそばにさりげなく歩み寄っていた。アンニ・キュンシレフトさんは、日本の国費での初の学部留学生として東京大学を卒業後、帰国したばかり。開場前の朝の10分のあいまに文字通りかけあしのインタビューにつきあってくださった。すべてにとても熱心でありがたかった。そしてミリャ・マンニッコさん。黒髪のミリャさんは、最終日に美しい着物姿を披露してブースに華を添えてくださった。来訪者の貴重なお話をうかがえたのは彼らのおかげで、心からの感謝を捧げたい。


・フィンランドの書籍事情

 ここまで図書展の様子を述べてきたが、フィンランドで行われるブックフェアに日本が出展するのは今回が初めてということなので、ブックフェアの開催中はブースに人手が必要であまり出歩くことができなかったが、開場前に町の書店やブースを訪ねてみた。以下は、その朝の多忙な時間の1〜2分の立ち話や、来場者から断片的にうかがったお話による。まとめることができるほどの情報はないことを、あらかじめお許しいただきたい。
 2010年のフィンランドにおける新刊出版点数は4450点、売上額は2億7470万ユーロ。過去3年間で売上は10%ほど減少しているが、販売の約3割をしめる教科書の販売は横ばいで安定している。電子書籍の比率は4%前後である。教科書を除く紙の書籍の約20%は読者への直接販売による。ブッククラブの存在がこの国でも小さくないことがうかがえるが、橋元氏の報告によるポーランドにくらべ書店ルートはまだ健在のようだ。
 流通は書店ルートと、キオスクルートに2分されている。書店ルートには大きく3つのホールセラーが存在している。最大手のKirjaV?litys、教科書大手のWSOYやTammiの書籍を扱うPorvoonKirjauesvus、新興の出版社20社あまりを中心に最近取り扱いを増やしているというKustannustaitoの3社だ。それぞれほぼ全国をカバーしているとのことである。大手チェーン店が販売を見込める書籍について出版社と直接取引する例外はあるようだが、町の書店はこうしたホールセラーを介して書籍を調達するのが通常とのことである。キオスクルートは、ドラッグストアやスーパーマーケットなどに雑誌等を流通している。漫画はその双方で流通するが、キオスクルートは定価販売のため、タイトルごとに価格記載したものとそうでない2種類のカバーが存在する。
 国内にアマゾンは進出していない。書籍は町の書店で買うのが一般的だそうだ。ネットショップはあるが、あまり利便性を感じないという。宅配が発達しておらず、利用しようとすると料金が高くスピードもなく、また相対的に料金の安い郵便小包も局留めのため、直接書店に出向いた方が手軽ということであった。郵便もまた再編にさらされているという。日本で朝にネットで注文したら夕方には届くというようなシステムは、信頼性の高い宅配システムに負うところが大きい。折しもトゥルク滞在中にKindle Fireが発表になり、フィンランドメディアも大きくとりあげていた。もし宅配を介さないでよい形態になった場合、この国にも変化が生まれる時がくるのかもしれない。いまは最も近いamazon.ukからでも取り寄せには5日以上かかる。送料もかかるので、英語等の諸外国語の書籍も急ぎでなければ書店に注文するそうだ。しかし取り扱い書店は限られる。書店は欧州のホールセラーから取り寄せるようだが、その具体的な名前はあがらなかった。アカデミア書店でも輸入はヘルシンキ本部の取り扱いとのことで、トゥルクで詳細を知ることはできなかった。和書の入手については、amazon.co.jpはある程度の日本語力がないと使いこなせないようで、日本の知り合いに頼んで買ってもらったり、研究者はパリのジュンク堂に在庫があれば利用することがあるという。
 トゥルク市内には大きな書店が三軒ある。市庁舎にほど近い場所に1887年から続く市内最古のKansallinen(ナショナル)書店、中心部のショッピングセンターには二大チェーンAkateeminen(アカデミア)書店とSuomalainen(フィンランド)書店が軒を接している。いずれの書店も一般書籍の他に、教科書売場、文房具雑貨売場を持つ。書籍の種類はアカデミアが多いが、フィンランド書店の方が安いという評判だ。アカデミア書店にはスリーエーネットワークのにほんご学習教材もあった。店の一等地に平積みされた書籍の価格は35ユーロ前後のものが多い。全体的に価格は安くない。しかしこの国の読書量は世界一ともいわれている。書店の売上冊数は1995年から2003年にかけて33%増加し、その後の5年間も10%の伸びを示し、家計の可処分所得の伸びを上回る。だがトゥルクのアカデミア書店のセールス・マネージャーMikkoJ?mseeさんによると直近ではゲームなどの影響で余暇の過ごし方が変わってきており、売上は年2〜3%程度の漸減傾向にあるという。


アカデミア書店
アカデミア書店


 GAUDEAMUS(Helsinki University Press):マーケティング・マネージャーのRittaKorpip??さんが接客の合間をぬって話をしてくださった。GAUDEAMUSは現在スタッフ4人、年間20点の新刊を発行する大学出版だ。大学教科書ブランドとして定評があるそうだが、通訳の学生たちはUPであることは知らなかった。出版分野は人文・社会科学書に限定しており、今回のブックフェアでも他の人文・社会科学書版元2社とグループになってブースをかまえている。自然科学書はそれを専門とする出版社が別に存在するのだそうだ。


Gaudeamusブース
Gaudeamusブース


 GAUDEAMUSの専門書1点あたりの平均発行部数は1000部弱。フィンランドの人口は約530万人である。もちろん同種の出版社が少なく、教科書利用があるので単純比較はできないが、かなりの数字であることに相違はない。また販売に図書館需要がしめる割合が2割ほどという。フィンランドは人口あたりの図書館数も多く、およそ日本の人口比7倍に相当する図書館数を誇る国である。


市図書館
市図書館


 出版助成については、優れた業績に国が助成をつけることがごくまれにあるが、学術出版に制度化された公的助成はないそうだ。電子書籍にはまだ本格的にとりくんでおらず、PDF版で60点ほど発行しているが、いずれも紙の書籍があるものだという。

 最後になりましたが、日本ブースを準備していただいた大使館のみなさんに改めて心より感謝申し上げます。特に渡邊氏はこのブックフェアの日本ブース運営について実に細部にわたって周到な準備をしてくださいました。そしてこの貴重な機会を与えてくださった横手多仁男専務理事をはじめ出版文化国際交流会のみなさん、また国際交流基金のみなさん、大学出版部協会のみなさんに改めて深く感謝申し上げます。

 おかげさまでブックフェア閉幕まで好天は続き、私たちが片付けを終えて会場を出る頃になって、また冷たい雨になりました。きっと今頃は雪にかわっていることでしょう。暗く長い冬を過ごす、トゥルクで会ったたくさんの方の傍らに、いつまでも豊かな本があることを祈念申し上げます。


統計参照
フィンランド書籍出版協会
フィンランド書店組合

   
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