一般社団法人 出版文化国際交流会 Publishers' Association for Cultural Exchange (PACE), Japan 本文へジャンプ


第65回フランクフルト・ブックフェア

報告:新藤 雅章(出版文化国際交流会)



名  称
65th Frankfurt Book Fair
会  期
2013年10月9日(水)〜13日(日)
会  場
フランクフルト国際見本市会場
主 催 者
ドイツ出版社・書籍販売店協会
参 加 国
100(前年97か国)
出 展 社
7,300社(前年7,307社)
展示面積
171,790m2
入場者数
275,342人 (前年281,753人)
9日〜11日〈ビジネスデイ〉142,912人 (前年146,187人)
12,13日〈一般〉132,412人 (前年135.566人)
テーマ国
ブラジル


フランクフルト・ブックフェアについて
 よく聞かれる質問だが、「フランクフルト・ブックフェアの開催期間は5日あるが、実際会場を見てまわるのに5日も必要あるかね?」というものだ。答えは「各ブースをまわって、見学するだけでも5日はかかりますし、もしさらにミーティングなどのスケジュールを入れるとすると、とても5日ではまわりきれません。」と答えるようにしている。
 要するに広いのだ。172,000m2は「東京ドーム3.6個分」にあたる。今回の場合6棟のHall(号館)と呼ばれる建物があり、それらHallは二階建て、三階建て、あるいは平屋と異なる形状であるにせよ、すべての階でブース展示あるいはショー・スペースで様々なエグジビションが催されている。そして、これらはおおむね国、地域別に以下のように整理されている。
 Hall 3 ドイツ国内の出版社
 Hall 4 オーディオブック、装幀コンクール応募作 品展示、教育関連機器展示
 Hall 5 ヨーロッパ、ロシア、南アメリカ 中東、アフリカ
 Hall 6 ヨーロッパ、アジア
 Hall 8 アメリカ、英国、カナダ 豪州 
 Forum テーマ国、ブラジル
 また、各Hallには“Digital Innovation”あるいは“Education”といったテーマ別の催事(Hot Spotと呼ばれている)スペースがある。
 さらに、ここ10年、定着したコスプレコンテストも相変わらず華やかで、コミックの登場人物の単純なコピーというよりも、そこに自分流のアレンジを加えて様々工夫しているようだ。
 これは毎年のことだが、「昨年に比べると人が少ない。」ということが言われる。5年ぶりに行った報告者としては5年前の記憶を引っ張り出して考えてみたが、特別今年が少ないという印象はない。とりわけ、Hall 3のドイツ館は5年前と同様ラッシュアワー並みの混雑でなかなか前に進めなかったし、Hall 8の英米館は、ここは平屋なのだが、ドイツ館ほどではないものの、やはり終日にぎわい、大きなブースを構えたアメリカの出版社のミーティングのテーブルは例年並みに一杯だった。なるほど、Hall 6のアジアのブースは、同じHall 6のフランスのブースが結構、来場者でにぎわっていたけれどアジアのブースはやはり来場者が少ない、というのは5年前もそうであったと記憶している。私はそれは、漢字、ハングル、ひらがな、カタカナという西洋との異言語文化圏だからと結論づけたが、一昨年本交流会の事務局に参加してからまさにこの部分を克服することが、今後のフランクフルトブックフェア参加のポイントだろうと考えている。
 しかし、そのなかでも7月に東京国際ブックフェアでのテーマ国となった韓国は国を挙げてバックアップして出展しているという印象で、大きなブースをゆったり使って盛んにミーティングをしている。
 また、中国も5年前にはにぎにぎしく盛大なブース設営をし、どちらかというとその存在と国をアピールしていたようだったが、現在では非常に落ち着いた様子で版権ビジネスに取り組んでいるように見えた。

 

日本総領事館のブース

 

日本ブース
 日本ブースは、昨年と同様Hall 6の2階のSバーンの駅寄りのスペースに位置している。ここは、確かにメッセ正面からは遠いけれど、英米館、ドイツ館などとはむしろ近く、30分間隔でミーティングの詰まった各出版社の一番の悩みどころである次のミーティングポイントまでの移動時間も解決とは言えないけれど、ある程度軽減されているのではないだろうか。
 日本会場の構成は、小学館、講談社、ディスカヴァー21、日本著作権輸出センター、オーム社、学研ホールディング、リード・エグジビション・ジャパンの単独ブース、そして国際交流基金と出版文化国際交流会の共催による日本ブースには、独立行政法人国際交流基金の選んだ書籍、文藝春秋、一般社団法人出版梓会、一般社団法人大学出版部協会、一般社団法人自然科学書協会の書籍を陳列することになっている。さらに、今年はそれに加えて在フランクフルト総領事館が日本紹介の4uのブースを出展、彩りを添えた。
 ところで、昨年よりドイツ税関の対応が変わって、フェアに出品の書籍の通関が明確な理由もわからないまま、一時止められて開会前日までもめたことから、本年の会場への搬入も強く危惧して2日まえからフランクフルト入りをした。結果的には、税関から特にクレームがつくことはなく、スムーズに各出版社のそれぞれのブースに搬入された。昨年の混乱がうそのようであった。
 10月8日(火)オープン前日9:30、準備のため会場へ赴く。昨日打ち合わせた通り出版三団体、国際交流基金、文藝春秋の書籍を並べる。他の出版社の壁面構成は棚3段だが、PACEは従来から4段で陳列することになっている。
 さらに、各ブースには在独いけばな協会が各ブースにすてきな生け花を活けてくれた。
 5日間の期間中特に多かった問い合わせは次のとおりだ。
(1)自分(あるいは自社)の本を売り込む出版社を教えて欲しい。
(2)あるジャンルの日本の出版社を教えて欲しい。
(3)展示されているTUTTLEの書籍を買いたい、または、版権を扱いたい。
というようなことだ。とりわけ(3)については、8号館にあるTUTTLEのブースに行き、責任者のSteve Jadick氏と面談。実際、話が来た時の対応について打ち合わせておいた。実際、会期中にも10件ほどの版権や書籍購入の問い合わせがあり、8号館のTUTTLEのブースを紹介した。ただ、最終日は一般客からの購入の照会が多かったのだが、TUTTLEブースが早々にクローズしてしまったので、購入できない客がいたのは、残念だった。
 それにしても、英語で書かれた出版物は注目の頻度が高い。日本の出版物を海外に紹介する場合、やはり英語で紹介するツールが必要ということを痛感した。それは、日本総領事館の方からの「日本のブースは日本語だらけという印象があり、外国人は入りにくいのではないか。」という感想にも表れていると思った。
さらに書けば、期間中版権購入に強い関心を示したイタリアの大手出版社の選んだ、大学出版部協会の書籍も英文で書かれたものであった。
 10月12日(土)には『フランクフルト・ブックフェア視察団』の一行8名が無事に到着。日本の各ブースを一巡したあと早速、英国、米国の出版社がブースを出している8号館に出かけて行った。
 その他、特筆すべきは、例年のように本年も会期中、フランクフルト・ブックフェア事務局の最高責任者ボース総裁と私たち出版文化国際交流会とのミーティングを実施した。本会からは、竹生修己副会長を筆頭とする本会メンバー、日本書籍出版協会・樋口清一氏の合計5名がHall 4の中二階にある事務局を訪問し、今の日本の出版の状況、あるいは日本の出版社をはじめ代理店のこのフランクフルト・ブックフェアに懸ける思いや問題点を説明し、理解をもとめた。

 

本会のブース

 

テーマ国
 本年のテーマ国のブラジルは空間をうまく利用してデザイン的には素晴らしい展示だった。たとえば、いくつものハンモックがつりさげられた空間があり意表をつかれたが、そこで実際、気に入った本を寝ころびながら読むことができるといった工夫や、作家紹介のA4判くらいのメモを2メートルくらい柱状に積み上げて側面にその作家の写真を配するという粋な計らいも見受けられた。ただ、昨年と比較はできないけれど、斬新な空間処理で面白いことは面白いが、デザインに凝りすぎたところがあったように思うのだがどうだろうか?
 ところでテーマ国ブラジルの展示では、豊かで多様性に富んだ文化を十分に見せるために、細かなプレゼンテーションを企画している。一例をあげれば、自国の文化を海外に広めるための努力、ブラジル文学などを海外で翻訳して出版する場合、政府の援助を与える政策がとられていることなど紹介している。

 

昨年ライプチヒで開催された装幀コンクール応募書籍の展示風景

 

 

 
   
©PACE