一般社団法人 出版文化国際交流会 Publishers' Association for Cultural Exchange (PACE), Japan 本文へジャンプ


第19回ソウル国際ブックフェア

報告:新藤 雅章(出版文化国際交流会)



名  称
19th Seoul International Book Fair
会  期
2013年6月19日(水)〜23日(日)
会  場
COEX韓国総合展示場(面積14,733m2
主 催 者
大韓出版協会
参 加 国
約20か国(前年20か国)
参加出版社
610社 835ブース(前年580社)
入場者数
129,110人(前年126,799人)


会場の全体像
 韓国の出版状況は全体的に低調だといわれていて、たとえば統計庁の「世帯あたり月平均家計収支」によれば、2003年〜2012年の間に総所得が55%、総支出は50%増加したが、反面、書籍購入費だけはマイナス28%を記録した、という。(第20回東京国際ブックフェアでの講演資料より)しかし、全体的にみれば、そうした統計上の数字とは別にブックフェアは、大いににぎわったというのが偽らざる印象であった。
 フェア初日、開始時間の9:30から、会場のCOEXの入口には耳にイヤホンをつけた警察官ばかりが目立つ。セキュリティがとりわけ厳しい。パク・クネ大統領が視察に来られるからだ。視察はオープン直前に決定されたようで6月11日の午後、すなわちオープン9日前に突然メールがフェア事務局より、外国人は氏名とパスポートナンバー、あるいは外国人登録証ナンバーを、韓国人はIDカードのナンバーをフェア事務局にオープン7日前までに登録するように要請してきた(この間わずか2日間だけ)。この登録がないと19日の10:00から12:30までは会場に入場できないということだった。そのため、日本にいる間に大慌てで登録をすませてきたのだ。当日は受付で照合し、ようやく会場内にはいることができたが、会場前は照合を待つ人々で大混雑だった。
 パク大統領の視察は11時過ぎまで、おもに韓国の出版社のブース視察をされて、さらに今回のテーマ国のインドブースの訪問であった。大統領が会場を去られた後、一般の入場がはじまった。
 テーマ国であるインドブースは、会場で一番広いスペースを占めているのみならず、書籍の展示とともに以下のようなイベントが企画された。
(1) インドはノーベル賞受賞者をアジアで初めて出した国として知られているが、7人の受賞者の伝記、ポスターなどを掲示した。
(2) 10人の著名なインドのイラストレーターの紹介。
(3) インドのこの100年間の映画の歴史を記した書籍が展示されるとともに、作家、出版物に関するドキュメンタリー映画の上映。
など、合計8件もの特別展示が企画され、さらにインドの作家等によるトークショーなど7件のイベント、3件のセミナーが用意されていた。
 また、これとは別に韓国とカナダの国交樹立50周年を記念して「図書を通してカナダとの文化交流を深めよう」ということで、カナダの絵本作家の講演など6件のイベントが実施された。
 来場者は平日にも関わらず、老若男女を問わずかなり入っている、また私たちのブースのロケーションが入り口からのびた広い通路に対して正面に位置しておりお客様がとても入り易い。かなりの人が、立ち寄ってくれた。
 昼ごろより混雑が始まる。先生に引率された幼稚園児、小学校低学年のこどもたちのグループがやたら目立つ。また、学生に交じって一般の社会人なども結構いて、人ごとながら勤めはどうなっているのだろうと考えてしまった。
 最終日。入口は長蛇の列。後でわかったことだが、お目当てはある出版社が先着100名に「Secret Box」なるものを配布する、ということで10:00になったら一斉に来場者が駆け込んできて、さらにその出版社を囲んで長蛇の列。
 ところで、この会場では書籍の割引販売をおこなっている。どのくらいの割引率か見回してみるとほとんどが20%引きで、なかには30%というのもある。また、段階的にこの棚は10%、こちらは20%というのもあった。

 

幼稚園の子どもたちも見学

 

日本のブース
 日本の出版社の出展で確認できたのは、以下の通り。BNN新社、大和書房、メディアファクトリー、PHP研究所、中経出版社、竹書房、エクスナレッジ(この7社の書籍はクリーク・アンド・リバー社のブースに展示されていた。同社は東京、ソウルに拠点を置き、主に中国、台湾、韓国へ広範に版権売買をしているエージェント)。また単独ブース出展は実業の日本社、幸福の科学、トーハン、ポプラ社と国際交流基金と私たち出版文化国際交流会(JF/PACE)。
 大学出版部協会の一行11人が15:00過ぎ会場に到着。私たちのブースを訪問してくれた。韓国大学出版部協会との交歓会議に出席されるという。今回は、大学出版部協会から寄贈を頂いて初めてソウル国際ブックフェアで100冊というまとまった数の学術書を並べることができた。感謝。
 初日のブース来場者の質問は「翻訳本を出したいので日本の出版社を紹介してほしいということ」で来場した韓国の方2名。「東京ブックフェアに行くため、初めて東京に行くのだけれど不安なので相談にきた」という韓国の出版社の方1名への応接が印象に残った。
 われわれのブースに置いてあるパンフレット類は15点ほどだが、最もよく手に取られているのは日本紹介の地図、観光地案内である。
 82歳の男性は「小野圭次郎著『英文解釈研究法』を30年にわたって探している、ここに置いてあるか?」と訪ねてきた。古い英語の参考書だが、さすがに教保文庫の若い女性たちも知らない。たまたまPCを持参していたので調べてみると2011年に河出書房新社から復刻されていた。そのことを告げるとお年寄り、とても喜んで早速、教保文庫で予約していた。
 ちなみに私たちJF/PACEのブースは韓国の最大手の書店「教保文庫」にお願いして日本語書籍の販売をしている。販売している書籍のジャンルも広範で、日本で流行っているベストセラー小説から実用書、児童書、さらにコミックなどである。この5日間での売り上げは前年並みの160万円超だったそうだ。
 四日目は土曜日とあって9時過ぎから入り口付近にたくさんの人たちが並んでいる。開場後、彼らの大半はあの村上春樹氏の新刊『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の韓国語翻訳権を得たMinumsa出版社の巨大なブースに殺到し、展示スペースに並べてある書籍を何冊も買い求めて、たちまちレジは長蛇の列となった。
 われわれのブースも長蛇の列とはいかないけれど、開場と同時に前日よりにぎわいをみせ始めていた。
 14:00より、われわれのブース前でクイズを実施。12問のクイズを出題し、ブースを取り囲んだ若者、主婦、親子づれに手を挙げて答えてもらい、正解者に賞品を渡すという至ってシンプルなもの。もちろん、そんなに難しいのはなくて誰でも答えられる問題だが、皆元気よく挙手して答えてくれた。

 

本会のブースでクイズを実施、来場者も楽しそう

 

所 感
 ところで、このブックフェアは関西を中心に日本の創作集団や志をもった出版社がブースを出していた。
日本からのブース出展は前述のとおりだが、それとは別にビジネスチャンスを求めて10社余りの出版社が日本から来場し、活動していた。来年はそうした出版社のお手伝いが何かできないか、私たち出版文化国際交流会も考えていきたいと思っている。
 大韓出版文化協会、国際交流基金、参加いただいた日本の出版社の皆様にあらためて謝意を表します。お世話になりました。ありがとうございます。

 

 
   
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