一般社団法人 出版文化国際交流会 Publishers' Association for Cultural Exchange (PACE), Japan 本文へジャンプ


第67回フランクフルト・ブックフェア報告


報告:横手 多仁男(出版文化国際交流会)



名  称
67th Frankfurt Book Fair 2015
会  期
2015年10月14日(水)〜18日(日)
会  場
フランクフルト国際見本市会場
主  催
Ausstellungs- und Messe GmbH des Boersenvereins des
Deutschen Buchhandels (ドイツ出版社・書籍販売店協会)
参 加 国
104ヵ国(前年101ヵ国)
出 展 社
7,145社(前年7,013社)
ドイツ国内 2,428(2,534) 国外 4,717(4,569)
展示面積
160,000m2(192,000)
104ヵ国(前年101ヵ国)
入 場 者
275,791人(このうちトレードビジターは140,474人)
(前年の269,534人に対し2.3%増)
テーマ国
インドネシア


 今回は会場全体の再構成が行われました。具体的には8号館の使用を止め、6号館の1階から3階をすべて使用して英米圏の出展社が配され、5号館には欧州諸国、日本を含むアジア諸国は学術・芸術・専門書館の4号館1階に移動しました。ドイツ及び児童書・コミック部門は従来通り3号館を使用しました。結果として中庭のアゴラを挟みコンパクトな構成となり各パビリオンを結ぶアクセスの距離は縮小されましたが、日本会場の位置が悪く、来年に向けて課題を残しました。
 上述のとおり、今回は出展者数、入場者数のいずれも対前年比微増となりました。今年度のテーマ国にはインドネシアが取りあげられました。”17,000 Islands Imagination Pavilion”のテーマで、フォーラム館では照明を落とした幻想的な雰囲気のなか世界中から集められた”Books on Indonesia”の展示、さらに民族舞踊も披露しました。また4号館の同国ブースでの作家対談、朗読会等、同国を紹介する多彩なイベントが催され多くの来場者で賑わいました。
 来年の第68回フランクフルト・ブックフェアの会期は2016年10月19日(水)〜23日(日)と発表されていますが、オランダ/フランダースがテーマ国として取りあげられます。

 

日本の出展状況
 日本からは31社4団体が出展しましたが、出展会場は児童書・コミックの3号館、学術・専門書・芸術書の4号館、英米語圏出展社・エージェントコーナーの6号館と多岐にわたりました。本会では4号館1階(Hall 4.0)に共同展示場と単独出展社ブースによる日本会場(展示面積136u)を構成しましたが、広大な中国会場の奥に位置し、しかも共同展示場の対面が壁ということもあり、出展社間でも不評で、いわゆる飛び込みの出展者が訪れるには難しい環境でした。したがって見本市の醍醐味の一つであるアポイント無しの新たな出会いの機会が減ってしまったとは多くの日本の出展者のかたるところで、次回に向けて課題を残しました。
 なお、本会では今年度もFBF参加事業について、「地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業費(略称J-LOP+)補助金」を申請し、受理されています。以下、出展状況の概要報告です。

 

(1)日本共同展示場(40m2
「日本インフォメーション・センター(16m2)」と「共同展示コーナー(計24m2)」で構成。
 日本インフォメーション・センターは国際交流基金と本会の共同で運営し、来場者からの様々な要請、問合せに応接しました。展示コーナーでは、出版2団体である(一社)自然科学書協会、(一社)大学出版部協会の各展示コーナー、壁面1m幅を基本とした出展社のコーナー展示、国際交流基金予算による購入図書の展示コーナー、更に地方創生のテーマの下「俳句関連の図書」の展示を行いました。
 日本インフォメーション・センターで実施した来場者へのアンケートでは22ヶ国99名の回答をいただいたが、当然のことながら地元ドイツの人が半数強を占めています。日本会場への訪問目的はビジネスと日本文化への関心がほぼ半数となり、特に関心を寄せる分野は日本の文芸、芸術、文化から歴史、日本語、マンガ、教育、技術等、多岐にわたっています。共同展示場における装飾、展示図書、パフォーマンスについては概ね好意的な感想が寄せられています。

 

(2)単独ブース出展
下記5社が共同展示場の周囲に単独ブースを構えました。
学研マーケティング、講談社、小学館、日本著作権輸出センター、ディスカヴァー・トウェンティワン
 出展各社では英文サマリーは元より様々な準備、工夫を凝らして商談に臨んでいますが、終了後のアンケートによりますと、各社のビジネス成果は「やや良い」と「やや悪い」という回答が相半ばという結果でした。期間中60件の商談をこなした社もあれば、新しい作品の成約見込みについて70%という回答を寄せた社もあります。アンケートに回答いただいた単独・共同出展社( 社)の商談総数は30ヶ国・地域、計234件となります。このうち西欧諸国が9ヶ国145件、アジア12ヶ国37件等となっています。ジャンルとしてはやはりコミック、絵本が多く、次いで実用書、文芸書となっています。

 

(3)出版2団体による出展
各団体からの出展数は以下の通りです。
自然科学書協会:17社44点
大学出版部協会:15部25点
合計:32社(部)69点

 

(4)書誌情報の事前発信
 今回もJ-Lit(日本文学出版交流センター)のご協力をいただき、出展図書の書誌情報を事前に発信する体制を敷きました。具体的には、J-Litのウェブサイト”Books from Japan”上に出版2団体のすべての出展図書を含む117点について英文書誌情報を掲載し、世界の出版関係者に事前周知するシステムを実施しました。さらにそのカラープリント版を図書ごとにA4判で用意し各展示図書とともに来場者に紹介しました。

 

(5)コーナー出展
 1m幅のコーナー展示には下記6社が申込み、各担当者が精力的に商談を進めていました。
オーム社、鹿嶋国際著作権事務所、三修社、トーハン、ポプラ社、東京国際ブックフェア

 

(6)俳句関連図書の展示
 今回は地方創生を掲げたJ-LOP+申請のなかでうたった『俳句関連』の図書20点を展示しました。今や俳句は我々日本人の予想を超えて世界に広まっていますが、JAL財団や愛媛県松山市の協力をいただき、俳句コンテストの紹介や浴衣の着付けパフォーマンスも合せて実施しました。

 

(7)国際交流基金予算による購入図書の展示
 英文版の「Books on Japan」関連の図書を中心に、文学書、伝統文化、日本語学習教材から和食、コミック、Pop Cultureまで多岐の分野にわたる215点余を展示・紹介しました。今回も会期中最も多くの来場者が訪れた展示コーナーとなりました。

 

(8)在フランクフルト日本国総領事館とケルン日本文化会館の協力
 日本インフォメーション・センターに隣接の日本総領事館ブースでは広報文化担当のマッテラ・イザベル氏、岩佐るみ氏らを中心に、折り紙、書道等の実演会が開かれ、来場者の人気を博しました。ケルン日本文化会館からは立川雅和館長、高羽洋充副館長及び金子美環事務局長が共同展示コーナーにて応接にあたりました。

 

(9)菅 直人元内閣総理大臣の来訪
 開会3日目の10月16日(金)午後、菅 直人元内閣総理大臣が来訪されました。菅元総理は会場内の公開テレビスタジオでインタビュー番組に出演、原発への意識の高いドイツ人来場者を中心に100名ほどが視聴、その後のサイン会でも大変盛況でした。日本会場では著書を含めた展示状況を視察、本会の竹内会長とも面談されました。

 

(10)いけばなの装飾
 今回も(一社)いけばなインターナショナルの全面的なご協力をいただき、日本会場の各ブースに生け花作品が飾られ、日本文化の彩りを添えました。特に日本インフォメーション・センターに置かれた作品には『PACE』の文字が入れられ、多くの来場者に好評でした。

 

所感
 今回は近郊で降雪が伝えられるほど気温が下がり、雨模様の天候が続くなかでの開催でした。今回も出展参加にあたって実にさまざまな方々のご協力をいただきました、ご関係の皆さまに改めて感謝申しあげます。
 前述しましたとおり、なんといいましても今回は数年振りに実施された会場全体の再構成が大きなトピックとして挙げられます。中庭のアゴラを中心としてコンパクトになりそれぞれのパビリオンを結ぶアクセスは短縮されましたが、日本会場を含むアジアの出展社が移動した4号館1階は残念ながら主要取引先である欧米出展社の会場と隔離され、見本市の醍醐味である新規取引先と巡り会う機会が大幅に減少してしまいました。申すまでもなくフランクフルト・ブックフェアは版権商取引を中心としたB to Bの場であり、日本会場の配置改善が次回に向けて事務局へ要求する最大の焦点になりました。粘り強く交渉していきたいと存じます。
 インターネットの普及により外国の出版情報を容易に取得できる環境が整い、国際ブックフェアの意味合いがかなり変化してきていることは紛れもない事実だと思います。一方において、日本文化の様々な分野で世界に紹介するにふさわしいものは数多くあると言われています。だからこそ出版の世界においてもインバウンドな情報取得だけではなくアウトバウンドな情報発信を続けることが大切ではないかと改めて思います。その意味でこのフランクフルト・ブックフェアの意義性はなお十分にあるのではと思います。次回の出展に向けては、他団体との連携をさらに強め、より幅広く呼びかけていきたいと思います。政府機関の補助金にしましても出展社の経費節減を目指し、次回も申請していきたいと考えております。

 

 


4号館全景

 


フォーラム館のBooks on Indonesia

 


テーマ国インドネシア特別会場

 


日本インフォメーションセンター(左)、日本会場(右)

 


学研ブース

 


講談社ブース

 


小学館ブース

 


日本著作権輸出センターブース

 


ディスカヴァー・トウェンティワンブース

 


日本共同ブース

 


Books on Japan

 


共同ブースでの商談

 


俳句関連図書

 


共同展示図書の英文シノプシス

 


折り紙

 


書道

 


菅直人元首相公開テレビインタビュー

 


日本会場を訪れた菅元首相

 


いけばな作品

 


浴衣

 


フランス共同ブース

 


世界で最も美しい本特別展示(1)

 
   
©PACE