一般社団法人 出版文化国際交流会 Publishers' Association for Cultural Exchange (PACE), Japan 本文へジャンプ


第69回フランクフルト・ブックフェア報告


報告:横手 多仁男(出版文化国際交流会)



名  称
69th Frankfurt Book Fair 2016
会  期
2017年10月11日(水)〜15日(日)
会  場
フランクフルト国際見本市会場
主  催
Frankfurter Buchmesse GmbH
参 加 国
102ヶ国(104ヶ国)
出展社数
7,309社(7,154社)
ドイツ国内 2,419社(2,432社) ドイツ以外 4,890社(4,722社)
入場者数
入場者数:286,425人(278,023人、対前年比8,402人増、3.0%増)
このうちトレードビジターは142,016人(142,300人、0.2%減)
一般入場者は144,409人(135,723人、6.4%増)
エージェント・センター(H6.3 LitAg)使用テーブル数
500(new record)
付帯イベント
4,000以上
テーマ国
フランス

※ ( )内は2016年実績

 

概況
 今回は例年になく好天に恵まれた中での開催となった。会場全体の構成をコンパクトに変更して3年目、各パビリオンの構成も定着してきた印象を受けた。上記の通りトレードビジターの数が昨年並みであったのに対して一般入場者の数が増えているが、これはパブリックデーの週末が好天であったことも理由のひとつと思われる。

 


中庭からの4号館


 今回のテーマ国にはフランスが選ばれ、開催前日のオープニングセレモニーにはマクロン大統領がドイツのメルケル首相と共に参列された。洒落た木組みの展示構成を施したフォーラム館には16ヶ国から集められた850点のBooks on Franceの図書が展示され、トークショーを始め多彩な付帯イベントが催され多くの来場者を引きつけた。
 好天もあり例年に増してパブリックデーの2日間はコスプレ姿の若者が溢れ、今やフランクフルト・ブックフェエアの風物詩の一つになっている。
 来年の第70回フランクフルト・ブックフェアの会期は2018年10月10日(水)〜14日(日)、Georgiaがテーマ国と発表されている。

 


テーマ国 フランス


テーマ国 フランス2


Talk Show

 

日本の出展状況
 日本からは33社が出展したが、出展会場は4号館1〜3階(アジア諸国、学術・専門書・芸術書)、6号館1〜4階(英米語圏出展社、エージェントセンター)と多岐にわたっている。本会では4号館1階(Hall 4.0)の入り口正面に単独出展社ブースとインフォメーション・センター、共同展示場からなる日本会場(展示面積136u)を構成した。

 


4号館1階入り口


入り口からの日本会場


奥からの日本会場


 今回はディスカヴァー・トゥエンティワン社が6号館への出展を取りやめ、4号館でのブースを拡大、また大日本印刷が6号館の出展とは別に4号館にも単独ブース出展された。1m幅の棚展示とタワーの面展示を基本とするコーナー出展にはKADOKAWA、集英社、文藝春秋の3社が復活出展。さらに日本文化に関する図書の展示という日本書籍出版協会と本会の募集に応えて10社が出品をした。
 前回に続き出展各社のご協力をいただきブースデザインを統一、日本としての一体感を全面にだした会場を構成した。

 


日本Info


日本Info 2


 Hall4.0の中のベストポジションに配置されたこと、さらに同じ通路に各ブースの仕切りをできるだけ少なくした構成は、集客力において相乗効果が表れ、実際新規顧客との商談が増えたと答える出展社ブースもあった。もちろん細長い会場構成は中国の高い壁面と対峙する形となり解放感が余りないという面もあり、出展社を増やし、スクェア型の日本会場を目指してさらに多くの方々のご協力を仰ぎたい。
 また昨年復活させた立食パーティーのHappy Hour Japanでは日本酒をふるまったことも好評で、昨年を超える参加者があり一体感を盛りあげる役割を果たした。実際、多くの方と交流を深められる場として今後も開催を希望する多くの声が聞かれた。

 


日本共同全体


 なお、本会では今年度もFBF参加事業経費について、「コンテンツグローバル需要創出基盤整備事業費補助金(略称J-LOP4)」をいただき、ブース代、施工費、送料等の直接経費のみならず海外渡航費、翻訳費等において出展社の経費軽減を図った。

 

出展状況の概要報告
@単独ブース出展
 下記5社が日本インフォメーション・センターの周囲に単独ブースを構えた。
 学研プラス(社名変更、8u)、講談社(32u)、小学館(32u)、ディスカヴァー・トゥエンティワン(12u)、大日本印刷(12u)(順不同)

 


講談社


小学館


ディスカヴァー・トゥエンティワン


DNP


学研プラス

 

 出展各社では従来の英文サマリー、英文サンプル翻訳に加えてライツカタログ、プロモーションビデオ等、様々な資料を準備、商談に臨んでいた。出展社へのアンケートによると、コーナー出展社を含む12社の合計商談数は400件を超え、今回のビジネス評価について多くの出展社は概ね良い評価をしている。なかには1社のみで商談数が100件に及んだ出展社もあるが、ほとんどの出展社が昨年に比べて新規顧客との商談が増えたと回答していることは大きな成果といえる。商談相手国はヨーロッパ、南北アメリカ、アジア、中東地域で合計39ヶ国に及び、これは前年比11ヶ国の増加である。商談数を国別に上から列記すると当然のことながら@フランス、Aドイツ、Bイタリア、Cスペイン、Dアメリカ、Eイギリスと欧米諸国が並ぶが、Fポーランド、Gロシアに続いてH中国、Iベトナムとなり意外にもアジアの2国がトップ10に入っている。
 商談対象にはコミック、教育マンガ、絵本、日本語教材に加えて一般書、文芸書、自己啓発・ビジネス書という実用書も挙げられている。

 

A 日本共同展示場(40u)
 日本インフォメーション・センター(16u)と共同展示場(計24u)で構成。
 日本インフォメーション・センターは国際交流基金と本会の共催で運営し、来場者からの様々な要請、問合せに対応した。共同展示場では、壁面1m幅とタワー展示を基本とした8出展社のコーナー出展、出版団体である(一社)自然科学書協会、(一社)大学出版部協会の各展示コーナー、日本書籍出版協会と本会の呼びかけに応えていただいた出版社のテーマ展示コーナー、さらに国際交流基金予算により購入の英文版日本関連図書を中心とした展示コーナーを設けた。

 

B コーナー出展
 壁面1m幅のコーナー展示とタワー展示には下記8社から申込みをいただいた。
鹿嶋国際著作権事務所、KADOKAWA、光文社、三修社、集英社、トーハン、文藝春秋、ポプラ社(順不同)

 

C 出版団体による出展協力
 各団体からの出展社名と出展数は以下の通り。
自然科学書協会:16社40点
 新興医学出版社、海文堂出版、光生館、メデイカルビュー社、電気書院、共立出版、緑書房、丸善出版、家の光協会、総合医学社、東海大学出版部、化学同人、コロナ社、建帛社、朝倉書店、羊土社(順不同)

大学出版部協会:17部27点
 東京電機大学出版局、法政大学出版局、武蔵野大学出版会、中央大学出版部、東北大学出版会、武蔵野美術大学出版局、関西学院大学出版会、専修大学出版局、北海道大学出版会、慶應義塾大学出版会、広島大学出版会、名古屋大学出版会、東京大学出版会、大阪大学出版会、九州大学出版会、弘前大学出版会、京都大学学術出版会(順不同)

日本書籍出版協会/出版文化国際交流会:10社33点
 潮出版社、新星出版社、芸艸堂、メイツ出版、大修館書店、高橋書店、ミネルヴァ書房、地人書館、筑摩書房、青土社
合計:43社(部) 100点
 来場者からの版権ビジネスに関する問い合わせにはエージェントを紹介、また購入希望者にはオンライン書店を紹介した。



ポプラ社


三修社


トーハン


光文社


文藝春秋


大学出版部協会


自然科学書協会


テーマ展示

 

D 書誌情報の事前発信
 今回も日本文学出版交流センター(略称J-Lit)の業務を受け継いだ一般財団法人日本児童教育振興財団のご協力をいただき、出展図書の書誌情報を事前に発信する体制を敷いた。具体的には、ウェブサイト”Books from Japan”上に出展図書について英文書誌情報(サマリー)を掲載し、世界の出版関係者に事前周知するシステムを実施した。さらにそのカラープリント版を展示図書ごとにA4判で用意し、図書とともに来場者に紹介した。これにより即効果をあげたとはいい難いが中長期的な視点からはまさに「継続は力なり」で極めて重要な取り組みといえる。

 

E「世界で最も美しい本コンクール」応募図書の特別展示
 本コンクールは毎年3月のライプチヒ国際ブックフェア開催時に催され、約30ヶ国から応募があり、その応募図書はフランフルト・ブックフェアで特別展示される。それぞれの国の文化を反映した装幀、デザインが見られ、興味ある方にはお勧めスポットである。
 日本からは日本書籍出版協会と日本印刷産業連合会主催(本会後援)による「造本装幀コンクール」の受賞図書(例年約20点)の作品を出品している。
 今回は『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店発行)が栄誉賞を受賞した。

 

所感
 高度に発達したネット社会においてAIを基軸にした第四次産業革命の時代を迎えているとも言われているが、世界の多くの国で開催されている国際ブックフェアの意味合いも大きく変化していることは紛れもない事実である。69年の歴史を有するFBFも例外ではなく、会場構成のコンパクト化、有料制ビジネスクラブの新設、エージェントセンターの拡充等、時代に合わせた様々な施策が講じられている。
 前述した通り今回のFBFにおける本会お世話の日本の出展社による商談相手国が39ヶ国に及んだ。具体的な国名もまさに各大陸の世界にわたり、これは他のIBFでは決してあり得ない数字で、ここにFBFの存在意義が今なお十分にあるといえるのではなかろうか。まさにパビリオンを越えれば各大陸の出展社とFace t to Faceで話ができる感がある。例年のことながら大型ブースで所狭しと、目白押しにビジネス・ミーティングが展開される6号館英語圏会場での商談風景はまさに圧巻である。
 H4.0におけるアジアの出展社との交渉は、確かにアジアの国際ブックフェアで行えるという意見もあるが、遠くヨーロッパのブックフェアに出展するアジアの出展社はそれなりに力のある、ある意味信用できる出展社ともいえる。したがって安心して商談を始められるという日本の出展社もいた。意外と思われるかもしれないが、フランクフルトではアジアの出展社同士の商談も活発といえる。先に記載したとおり実際、アンケートのなかで商談数のトップ10に中国、ベトナムが入っていることはこのことの証左ともいえる。
 今回、日本書籍出版協会と本会の呼びかけに応じて共同出展場に数冊出展された社から、FBFを視察に若い編集者の方が初めて訪れた。自ら手掛けた図書が展示され、それを来場者が手に取ってみている姿を眺めて、とても感激していた。まさに苦労して編まれた図書の「世界デビュー」である。英文サマリーがあるとはいえ、商談が難しいと言われるいわゆる「文字もの」の日本語版図書であり、残念ながら目に見える成果は得られなかったが、ご本人曰く「今後の出版活動に大いに刺激を受けました」とのこと。帰国後の彼の未来に大いに期待したいと思う。
今後も一社でも多くの出展社の参加を期待したい。また一人でも多くの出版関係者に世界最大規模のブックフェアを視察、世界の雰囲気を体感していただきたい。

 


ハッピーアワーパーティー


ハッピーアワーパーティー 2


FBF総裁 Mr BOOSとの面談


視察ツアー


Book Art International


Book Art International 2


コスプレ


コスプレ選手権大会会場

 
   
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