一般社団法人 出版文化国際交流会 Publishers' Association for Cultural Exchange (PACE), Japan 本文へジャンプ


北京国際ブックフェア2018


報告:佐藤 佳苗(出版文化国際交流会)



名  称
北京国際ブックフェア2018
期  間
2018 年 8 月 22 日 〜 26 日
対 象 国
中国
会  場
北京、中国国際展覧中心新館
会場面積
97,700m2
参加国家・地域数
93
総出展社数
2500社以上(公式発表数字)
来場者数
30万人以上(公式発表数字)

 

 

 北京ブックフェアは、株式会社トーハン並びに株式会社東方書店が日本事務局として日本からの出展社を取りまとめ、また経済産業省の出展補助金申請取りまとめもトーハンさんが従来行ってきた。しかし今年度は補助金申請のルールが変更され、トーハンさんによる申請取りまとめができなくなったため、参加各社が自力で行うようにとトーハンさんから案内がされた。それを受けたPACE会員社をはじめとする参加各社から、「少人数の版権担当部署では、申請作業までとても手が回らない。フランクフルトやソウルの図書展で補助金申請取りまとめをしているPACEに、北京に関しても同様のことを行ってもらえないか」と強い要請を受けたため、急遽今回補助金申請をPACEにて行うこととなった。出展社のうち、最終的に23社(単独ブース13社、1m幅ブース4社、共同ブース6社)を取りまとめて出展し、ブース・通訳はトーハンさんを通して、またブース施工、出張パック手配などのお世話をした。

 

 

 1m幅出展社のブース代がトーハンさんの料金設定が理由で補助金申請できないこととなったため23社にとどまったが、そうでなければ取りまとめ社数はもっと増えていたと思われる。1m幅ブースと共同ブースの出展社に関しては、補助金申請は旅費に関してのみ、となった。

 

 中国は現在世界一勢いがあり、その人口規模から一旦ライツ販売されると日本国内と比べ桁違いの販売部数も見込める可能性がある国である。それゆえこの北京ブックフェアは、平日はこの巨大市場に食い込もうとする世界各国からの出展社で熱気溢れるB to Bフェアとなっており、一方で週末は一般客の来場も可能なのだが閑散としている。各社とも事前に現地側のニーズを徹底調査し、展示図書を厳選、中国語でのあらすじ・ライツガイドを作成し万全の体制で臨み、本番では中国側出版社・エージェントを相手に終日商談を繰り広げ、自社作品を熱心に売り込んだ。飛び込みの問い合わせも多数あり、用意したテーブルで本来のアポが行われている傍らで、別の出張者複数がブースの前で複数社と立ち話で同時に対応する光景も多々見られたが、これぞ北京出展の醍醐味であろう。それにより各社の商談数・成約(見込み)数も目標より大幅に増加。補助金については、「おかげでそもそも出展・出張・その規模での出展・複数名出張者派遣が可能になった。それによりミーティング数も増え、成約増につながり大変助かった。」「1ブースながら最大4社と同時にミーティングを行う(3件はブース前で立ったまま)など、貴重なビジネスチャンスを逃さずにすんだ。」等、有効に活用させてもらい、結果としてビジネス成果も存分に上げられたという声が多々寄せられている。

 

 

 中国では出版に制限があり、他国では主にコミックを売り込んでいるような社も、ここではコミックは一切なしで別ジャンルを揃えている。また当局による検閲は今回も厳しく、ノンフィクション出版社は事前に送付した自社カタログがすべて没収された。うち1社は抗議を重ねたところ何とか取り戻せたが、しかし数ページ分が破り取り去られた状態で、数冊ずつブースに届けられたという。おもしろいのはしかし、問題となったタイトルほど中国側出版社からの問い合わせが殺到し、興味を示されるとのこと。さらに期間中も担当者がブースを回り不適切と思われる図書はその場で没収していくそうで、厳しいと言われる中東イスラム圏よりもよほど徹底している。このような出版・言論の自由については今後も摩擦は避けられない状況のようだ。

 

 中国側が自国作品保護・育成のため、翻訳ものの点数を減らしISBN発行数に制限を設けるようになったというニュースにも大きな不安を抱いていたが、実際に行ってみたらしかしその影響はほとんど見られず(児童書出版社からは、リスクは覚悟の上で、上手く立ち回っていきたい、との声あり)、依然として日本のコンテンツに対して非常に関心が高く、熱心に求められたことに皆胸をなでおろした。ビジネス成果としては、多くの社が非常に好調、期待以上だったとしているが、その背景として、経済発展に伴い生活が豊かになるにつれ、中国の人々の関心やニーズも多様化し、より成熟してきている中、それに合わせた新たなコンテンツがさらに求められているから、と分析している。児童書、実用書、学習・ビジネス書の他にも、文学やノンフィクション、学術書、理系書、日本の中国関連書などにも幅広く関心が寄せられ、さらに個々のジャンル内で、従来とは別の視点を持つ作品についてよく問い合わせを受けるという。

 


 まさに今が「売り時」の中国であるが、今回弊会が補助金申請取りまとめを行ったことに関し、「少人数の弊社では申請作業までとても手が回らないため、大変助かった。」「通常業務と並行して、自力で申請しろと言われたらとても無理で、しかし補助金なしでは出展を断念せざるを得なかったところだ」等、多くの感謝の声をいただいている。どこかが取りまとめて申請すると、各社版権担当者達はその分、本来のビジネスに集中することができて大変効率が良い。今後も引き続きこのような取りまとめ申請を行っていくことが、参加者より切に望まれている。

 





 
   
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